何度でも何度でも…
「俺は別にしるふが幸せならだれの隣にいてもいいんだけど」

再び箸をとった海斗がそっと告げてくる

大切だから、愛しているからこそより幸せでいてほしい

もちろん、自分のそばで笑っていて欲しいと思うけれど、でももししるふがどうしても海斗よりも大切に想う人ができたというなら、笑って送り出そうと思う

ま、そんなことさせるつもりはないが…

「あー、いいもんいいもん。もっといい男見つけてやるんだから」

ふいといじけて横を向く

ホントにいじけてなんていないけど、ちょっとは独占とか嫉妬とかしてほしいって思うってしまう女心

そんな私の気持ちを知ってか知らずか(いや、絶対知らない)

海斗は楽しそうに笑う

「まー、頑張りなよ。それでも貰い手がいなかったら、ちゃんともらってやるから」

もー、ほんとわかってないなー

むう、と唇とを尖らせつつ、にらみを利かせる

「ばかいと」

もう、知らない

どうして自分はいつも海斗にからかわれるんだろう

これがからかいだとわかるからいいものの、わかってなかったらただ不安になるだけじゃないか

でも、これがからかいだとわかるほどに海斗と時を重ねて、歩んできたのかと思うと、それだけ分かり合えていることに少し優しい気持ちになる


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