何度でも何度でも…
いらだちも驚きも何も感じられないその瞳は、けれど強い想いがあった

「立花が医者としての知名度を上げたいというなら、歴史に残るような名医になりたいと願うなら俺は別にあいつを外に出します。でも、あいつはそれを望まない。目の前の患者を助けて、その患者の未来を守ることをあいつが望んでいるから、立花が、しるふが、決してこの業界の闇に巻き込まれないように、そんなもの知らずに生きていけるように、外に出さないだけですよ」

しるふが真っ白なままでいられるように

黒崎病院跡取りという注目度を利用してしるふを守る

どんな高度な手術を成功させようとも自分の名前があれば、マスコミがほかの医師の目が彼女に向くことはないから

あの笑顔を守れるのならどんなに桁外れな期待を持たれようともそれを押し付けられようとも

世間から何と言われようとも構わない

しるふを医者として育てると決めた時に誓った

それは誰も知らない、海斗の中の決心

海外に出ない最大の理由はそこにある

黒崎病院ERが居心地がいいというのも海外で研究をする気がないというのもあるけれど、一番大きな理由は彼女のそばにいたいから

医者になって3年、腕はいいけれどまだまだそばで見ていないと危なっかしくて放ってなんか置けない







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