何度でも何度でも…
「俺からも一ついいですか」

予想だにしなかった答えに目を見張る白鳥に海斗は静かに言葉を紡ぐ

「しるふを表現してもらっていいですか」

数年前、初めて会ったしるふの姉・紗雪に聞かれた質問だ

「…表現?」

質問の意味がよくわからなかったのか、白鳥は軽く眉を寄せる

「しるふがどんな人間か、どんな人間と思っているのか言ってみてくださいってことです」

さあ、あれを、出逢いたてのあれをどう表現するのか

「立花さんは素晴らしい人だろう?医者としてももちろんだが、人間としても落ち着いているしきちんとした考えを持っている、それに凛としていて強さもある。とても魅力のある人だよ」

そう告げる白鳥の瞳に嘘はない

「そういうと思ってましたよ」

まだまだですね、白鳥さん

白鳥と話している間に休憩時間は終わりを迎えそうだ

結局外の空気を据えなかったじゃないか、そう思いながら目指していたエレベーターとは逆の方向にある会議室へ向かいつつ、

去り際に海斗は肩越しに振り返って言葉を残す

「…しるふは、じゃじゃ馬ですよ」

それと、あいつを誰かに渡すつもりなんてありませんから






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