何度でも何度でも…
「…じゃじゃ馬、か」
「どうなさいました、福医院長」
白鳥病院に向かう車の中で、ふとひとりつぶやいた白鳥に長年運転手を務めている白髪の老人はミラー越しに視線を送る
「…いや、なんでもない」
老人の視線に気づいた白鳥はいつものように優しい笑顔で首を振る
黒い高級車はゆっくりと病院の前に停車した
ドアを開けて降りると目の前にはいつもと変わらぬ、ずっと厳かな雰囲気を漂させている我が病院だ
運転手に礼を言って、カバンを持ち直すと白鳥は出入り口に向かって歩き出す
「白鳥さん」
数歩歩いたところで澄んだ声に名を呼ばれた
顔を上げるとそこには、黒よりは茶色に近いきれいな瞳に強さを宿したしるふが立っていた
「立花さん…」
初めて出会った時と変わらない凛とした雰囲気が漂っている
けれど、海斗は彼女をじゃじゃ馬だという
海斗がみているしるふと自分が見ているしるふは違うのかもしれない
「…白鳥さん、私、やっぱり白鳥さんの想いには答えられません」
一瞬、瞳を伏せて再び白鳥を見た瞳には今までない光がある
「白鳥さんはすごくいい人です。すごく素晴らしい人です。…でも、私はダメなんです」
温かさを含み始めた風が二人の間を吹き抜ける
「どうなさいました、福医院長」
白鳥病院に向かう車の中で、ふとひとりつぶやいた白鳥に長年運転手を務めている白髪の老人はミラー越しに視線を送る
「…いや、なんでもない」
老人の視線に気づいた白鳥はいつものように優しい笑顔で首を振る
黒い高級車はゆっくりと病院の前に停車した
ドアを開けて降りると目の前にはいつもと変わらぬ、ずっと厳かな雰囲気を漂させている我が病院だ
運転手に礼を言って、カバンを持ち直すと白鳥は出入り口に向かって歩き出す
「白鳥さん」
数歩歩いたところで澄んだ声に名を呼ばれた
顔を上げるとそこには、黒よりは茶色に近いきれいな瞳に強さを宿したしるふが立っていた
「立花さん…」
初めて出会った時と変わらない凛とした雰囲気が漂っている
けれど、海斗は彼女をじゃじゃ馬だという
海斗がみているしるふと自分が見ているしるふは違うのかもしれない
「…白鳥さん、私、やっぱり白鳥さんの想いには答えられません」
一瞬、瞳を伏せて再び白鳥を見た瞳には今までない光がある
「白鳥さんはすごくいい人です。すごく素晴らしい人です。…でも、私はダメなんです」
温かさを含み始めた風が二人の間を吹き抜ける