何度でも何度でも…

6日目

サク、と音を立てる土はまだまだ茶色い

ところどころに雪が積もり、緑が芽吹くのはまだ先の話だ

それでも確実に春は近づいてきている

それは、見上げた桜の木にも感じることができる

「海斗ー、早くー」

なんで花がない桜の木を見なきゃなんないんだよ

しかも寒いし

等々、ぶつぶつ文句を並べ、少し距離のできた海斗を振り返る

長期休暇6日目

昨日、海斗とそのまま海斗のマンションに帰宅したしるふは、学会分の休みを神宮司からもらった

(もしかしたらしるふが休みだから強制的に休みにしてくれたのかもしれない)

海斗と、大好きな桜並木に来ていた

ここは知る人ぞ知る桜の隠れ名所

川べりの道に咲く桜がずらっと並び、道路から離れているせいか静かな時間が流れる

春になるときれいに咲き誇った桜がとても綺麗だ

毎年海斗とここを訪れるているが、さすがに花がない季節に来たのは初めてだ

「もう、海斗寒がりー。だからもう少し肉をつけろって毎回言ってるじゃん」

追いついた海斗に不満そうに唇を尖らせる
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