何度でも何度でも…
「好きで寒がりなんじゃないんだよ」

対する海斗も少し不満そうに、コートとマフラーをしっかりと着込んでいる

しかも両手はしっかりコートのポケットの中

どんだけ寒がりなんだ

「体脂肪率3%ととかいやみな数字だしてるからだよ。熱を作り出す筋肉があってもその熱を体内に保存する脂肪がなければ意味ないよね」

「だから、好きでそうしてるわけじゃないんだって」

体質の問題だ

「ふーん、いやみ」

ポケットの中に手を突っ込んでくるしるふのために少し手を引きぬきながら冷たくなった華奢な手を握る

そのままもう片方の手を腕に添えてくるしるふと花のない、白い桜並木を歩く

ふん、ふん、ふん

隣でしるふが鼻歌を歌い始める

音程とリズムからしるふが大好きな歌が思い出されて、海斗は、その澄んだイントロに瞳を細める

Time after time

何度でも

何度だって

きっとしるふを想う

掴んだこの手だけは、なにがあっても離したくないと思うから

二人で歩む道を信じているから
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