何度でも何度でも…
「片づけは、海斗がやってよね」

3年間で海斗の隣をどうどうと歩けるようになった自分がうれしくて、でもそんなこと言ってなんかやりたくなくて

しるふはつんとすまして海斗に告げる

途端、

「…準備したのも俺だけどな」

胡乱気に瞳を細めた海斗の抗議が入る

「しーらない。海斗が私をからかったりなんかするからだよ」

「いつも振り回されてるんだ。からかってやるくらいしないと釣り合いとれないだろ?」

「振り回してなんかないもん」

だから、その無自覚さにいつもいつも振り回されてんだよ

そっと心の中でつぶやくにとどめた海斗は、

「わかった。姫の言うことは絶対だもんな」

はあ、とため息をついてから降参、と肩をすくめる

3年でとことん落ちてるのは、しるふだけじゃない

しるふの笑顔にもすねた顔にも、我がままにも一度も逆らえたことのない自分だって、相当なもんだ

本当、どこでまかり間違ったんだろう

どこでどう曲がれば、この現実に落ち着くのか

理由なんてないのに、やっぱり言い訳がしたくて考えてしまうのは、海斗も同じだった
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