何度でも何度でも…
「そもそもしるふが遅刻しなければいいだけの話だろ」

ぼそっとつぶやく海斗にしるふはくわっと反論する

「あ!またその話題蒸し返す!男のくせにねちねちと!女々しいわよ海斗!!男なら小さいこと気にしないのー」

「よく言うよ、片手で数えられるくらいならまだしも3年で何十回も遅刻する女が。最初のころはまだかわいげがあったのに、最近は開き直ってるからなー。こっちも嫌味の一つや二つ言いたくなるよ」

「っ…。私の遅刻は、掘り下げれば海斗のせいなんだからね」

「は?」

ぷいと横を向いてしまったしるふに海斗は訳が分からんという表情を向ける

待ち合わせしてデートしたい!と提案したのはしるふだし、待ち合わせの時間を指定するのもしるふなのにいったい何を言う

それともなにか、モーニングコールでもしろというのか

前に一回モーニングコールしたらきちんと起きていたし、本人も寝坊しているわけではないと主張しているのだからその線はないのだが、そうなると全く思い当たる節がない

女心のわからない海斗には永遠にたどり着くことのない結論だが、海斗の腕に自分のそれを絡ませて人ごみで迷わないようにしながらもそっぽを向いているしるふとしては当然の意見なのだ

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