何度でも何度でも…

「海斗君？」

二人で並んで歩いていたら、ふと澄んだ声に呼ばれた

思わず自分も振り返ると、そこにいたのは2，3個年上だろうか、柔らかに雰囲気を持つ女性だった

海斗を見つけたことに驚いていたようだけど、ふと微笑むとぱたぱたと近寄ってくる

そのしぐさがなんともかわいい

「久しぶりね」

海斗の前まで来ると少し首をかしげて微笑む

「元気そうですね、遥さん」

対する海斗も少し穏やかな表情をする

ちゃんとした知り合いみたいだ

「うん、海斗君も元気そうで何より。…ごめんね、デート中だった？」

ふとしるふに視線を投げる

その視線に嫌悪みたいな負の感情は感じない

「ま、そんなとこです」

「そっか、じゃ、邪魔しちゃ悪いわね。じゃね、海斗君、何か病気になったらよろしくね」

「期待しないで待ってますよ」

軽く手を振って人ごみにまぎれていくその人に、海斗は苦笑する

「…どうした、しるふ」

ふと隣にいるしるふの瞳が不機嫌そうに細められていることに気が付いた海斗は不思議そうに問いかける

「べーつにー」