何度でも何度でも…
「何怒ってんだよ、さっきから」

海斗のマンションに帰ってきて、ブルーベリーの紅茶をすすりながらも不機嫌そうな雰囲気を放つしるふに海斗はそれはそれは不思議そうな顔をする

こういうとこ、女心が分かってない

「……さっきの人さ」

ソファに背を預けて足を延ばしてしるふの隣に、紅茶のお代わりを入れた海斗が座る

ぶつぶつとつぶやくようにしゃべるしるふの声音は、いつもよりもちょっと低い

「……前の彼女さんでしょ」

手元の紅茶のカップを見つめつつ、ぼそっとつぶやくしるふに海斗は少し驚いたような瞳を向ける

「俺言ったけっか、遥さんの名前」

「…わかるわよ、話してるとこ見ればー」

海斗から聞いた前カノの話に名前は出てこなかったけど、なんとなくわかる

海斗が大学時代に付き合って別れた(振られた)年上の彼女さん

海斗曰く、3歩とまではいかないまでも1.5歩くらい後ろを歩くような人

ころころ表情の変わるしるふとは130度ほどタイプの違う人

でも、きっとだから別れたのだ

ま、これまた海斗曰く、「きっとそこまで好きじゃなかったんだよ、別れてって言われたときにそうですねってしか思わなかったから」

それでも、それまで誰とも付き合わなかった海斗が初めて付き合った人

一年も付き合ってなかったみたいだけど、それでも二人の時間を過ごしたんだ

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