何度でも何度でも…
「…妬いてんの」

むーと不機嫌なままのしるふを見つめていた海斗は、ふとつぶやく

「なんで私が妬くのよ!妬いてなんかないわよ!」

くわっと海斗を見て抗議するしるふに、海斗は面白そうな笑みを向ける

「珍しいじゃん、しるふが妬くなんて」

「だから!妬いてないってば!!」

何度も言わせないで!!

「…最近はそこら辺の女に振り回されなくなったのに、どうした?」

笑いが納まったのか、海斗が優しい瞳を向けてくる

ぽんぽんと頭を撫でられる

「……だって、それはぽっと出の人たちじゃん」

海斗の手が頭からほほに移る

「…そこら辺の人たちには海斗自体が興味ないのもわかってるし、あんまりいい感情持ってないのもわかるもん。だから別に気にしないんだもん。…でも、前カノさんは、好きで付き合ってたわけでしょ?だから…」

だから、なんなのだろう

焼きもち妬いてるのだろうか、海斗の過去に嫉妬しているのだろうか

言葉に詰まったしるふに、海斗は微笑むとその華奢な体を引き寄せる

ぽふっと腕の中に納まったしるふは、病院にいる時の凛とした雰囲気はひとかけらもない

肩のことろに頬をつけつつもそっぽを向くしるふの頭を優しくなでる

< 125 / 182 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop