何度でも何度でも…

「黒崎先生と立花先生が付き合ってるって本当ですか？」

真昼間の食堂

珍しく一人で手作り弁当を頬張っていたしるふに詰め寄るのは、今年採用になった数人の看護師

お肌のきめが細かくてまだあどけなさを残した姿に数年前を思い出す

「え?…ええっと…」

なんてことはどうでもよくて、ふと瞳を泳がせる

「デマじゃないんですよね?女除け契約とかってことも!?」

それはいささか失礼な発言じゃないだろうか

そう思いながら見上げるのは日の差し込む大きなガラス張りの壁

ああ、久しぶりだな

こういう雰囲気

なんて詰め寄ってきた彼女たち前にしみじみと頷く

「立花先生!はっきり答えてくださいよ!!」

「そうですよ!!」

なんてやっているとしびれを切らした彼女たちに怒られてしまう

「ああと…」

はい、そうです

と言ってしまえればとても楽で

でもそれは黒崎病院にいろんな意味で夢と希望を持って就職してきた彼女たちを少なからず傷心させることで

かといって否定しておいて後々ばれるのも面倒と言えば面倒で

ああ、こんな時あいつがいればすべて責任を押し付けられるのに

と思い浮かべるのはあの漆黒の瞳