何度でも何度でも…
「ん?そうだけど?」

しるふの問いかけに海斗は視線だけよこしてくる

「一口ちょーだいっ!」

よっ、と背もたれから背を離し、海斗の横に肘をつく

「いいよ」

ついでにと言わんばかりに海斗はトレーごとしるふの方へ押してくる

「さすが海斗!!わかってる!」

しるふは実は見た目に寄らず大食いだ

おかずだけ食べて満足するはずがないのだ

しかも銀鮭ときたらご飯と一緒に食べないと気が済まないだろう

それが分かっている海斗はトレーごとしるふの方へ押し、箸を手渡す

ホイル焼きとご飯を口に含んだしるふは

「ん!美味しい!!」

キラキラと瞳を輝かせ、うれしそうに瞳を閉じる

美味しいものを食べた時のしるふのくせだ

まるでその味を最後まで味わうかのように瞳を閉じるのだ

それがケーキだったりすると首を左右にリズム良く揺らして本当においしそうにしている

一方の海斗はいつもそんなしるふを優しい瞳で見つめているのだ

今日も隣に座る海斗は頬杖をついて楽しそうにしるふを眺めている

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