何度でも何度でも…
食事を終えて医局に戻った二人はそれぞれにやらなければならないことに手を付けていた

検査結果を見てこれからの対応を決めたり

患者のご家族に病状説明を行ったり

カルテを書いたり

外来診察をしたり

やることはあとからあとからやってくる


病院にいる時は机が隣だとしても仕事上のことくらいしか話さない

医局に二人きりの時とか食事の時とか、館内を二人で移動しているときとかならプライベートモードになる

初めのころはお互いを「立花」「黒崎先生」と呼び合っていたためか病院外でおどけてそう呼ばれると反射的に名字で返してしまう

それでもきちんと仕事モードとプライベートモードを切り替えている自分たちは偉いと思う

海斗がしるふを下の名前で呼んできたときは、たとえ病院内であってもそれはプライベートモードの合図だ

何か示し合わせたわけではないが、お互いにそう解釈している

後は語尾

海斗は特に変化がないが、しるふは海斗を「黒崎先生」と認識しているときは敬語を使う

一応指導医だったし

先輩だし

「海斗」認識になったときはため口になる

一気に海斗は恋人認識になるのだ



< 140 / 182 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop