何度でも何度でも…

しるふはICUに海斗は医局でパソコンに向かっていた午後


「黒崎先生、お客様です」

ガラス張りの医局のドアを開けて顔だけのぞかせた看護師が海斗を呼ぶ

「客？」

呼ばれた海斗は顔を上げる

今日は患者の家族への説明の予定は入ってなかったと思ったが…

「はい、呼んできてくれって言われたんですけど、たぶん…」

「…わかった」

看護師の言葉に海斗ははあとため息をついて立ち上がった

看護師が悪いわけではないのにその人は少し申し訳なさそうだ

患者の家族ではないなら残る可能性は一つだ

ERに働いていると一度は目撃する光景で、すでに何年かここで働いている看護師にとってはできるなら門前払いしたいのだ

でもそのあとに何か問題を起こすわけにはいかないからこうして海斗を呼びに来ている

もちろん、すごく申し訳ないと思っている

「ありがとう、今行くよ」

ポンポンと机の上の資料を揃えつつ看護師をさがらせる

ちょこんと頭を下げて看護師はドアを閉める

医局に残った海斗は、もう一度大きなため息をついてから資料を机の上に置き、医局のドアを押し開けた