何度でも何度でも…
今日も海斗は少々面倒くさそうに対応しているようだ

早く帰ってくれないかオーラを放つ海斗

海斗の言葉にすぐに返答している様子を見ると相変わらずああいえばこういう性格のようだ

「もう、やめてよね」

なかなか食い下がろうとしない彼女を見ていたしるふは、仕方ないといったようにため息をつく

海斗に手を出さないでほしい

恋人だからではなく、海斗のというか黒崎先生の心身的疲労を増やさないでほしい

それでなくともこっちは忙しいのだ

「これお願いします」

隣にいた看護師に持っていたカルテを手渡して、しるふはすたすたをICUを後にする

はらりと白衣が揺れる

その後ろ姿はここ2年で凛としたものに変わった

海斗に女が近づいても動じず、物怖じもしなくなった

海斗と過ごした日々が、医者としての時間がきっと彼女を変えたのだ

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