何度でも何度でも…
「ちょっと、いい加減にしてくれる?」


面倒くさい、と思いつつ教授娘の対応をしていた海斗は、凛とした透き通った声が響いて顔を向ける

少し怒ったように瞳を細めるしるふが目に入る

コンコンと海斗に近づいてくるしるふ

その瞳には明らかに怒りがある

「あなたは?」

海斗の向かいでしるふに目を向けていた教授娘は、眉を寄せてしるふに問う

「黒崎病院救命救急医、立花しるふです。黒崎先生の仕事の邪魔するのやめてもらえませんか」

忙しいんです

10センチほどの身長さを利用してしるふはにらみを利かす

「あなた、前にもお会いしましたよね?ここで働いていらしたのね」

170㎝あるしるふは結構な迫力なのにそれに少しも動じずににらんでくる

「ええ、無事に研修医を経て黒崎病院に戻ってきました」

それが何か?

「ふーん、あなた海斗さんの何?」

喧嘩腰で挑発してくる彼女にしるふはぴくっと眉を寄せる

こういう女は一番嫌いだ

そりゃ自分に自信を持つことは大切だと思うけれど、自信過剰はいただけない

引き際をわきまえてこそ本物の大人の女性だとしるふは思っている

だから思い込みと財力を利用して海斗に近寄ってくる女が大嫌いだ



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