何度でも何度でも…
「どうしたの」

イライラしていることを隠そうともしないしるふに海斗が静かに問う

今日、しるふは新城が現れて以来ずっとイライラしていた

周りにはわからないほどだけれど、ずっと一緒にいる海斗にはよくわかる

仕事だから話さないとか子供じみたことはしないけれど、どこか言葉にとげがあった

「別に」

対するしるふはむすっとしながらそっぽを向き、チョコを口に含む

海斗はしばらくしるふを見つめていたが、しるふが何も言わないことに諦めたのか

「そ、ならいいけど」

と言い置いてすたすたと台所に進む

珍しく海斗も少しイライラしているようだ

いつもならもっと優しく待っていてくれるはずだ

しるふが観念して話し出すのを

でも今日はちょっと突き放された感じ

しるふは海斗の言葉に眉を寄せ、より一層怒りのオーラを放つ

対する海斗はそれを気にする風もなくカップに紅茶を注いでいる

ふん、と鼻で息をしてしるふは海斗を振り返る

「海斗はさあ、ずるいよ」

ソファで足を抱えるようにして座るしるふは海斗をにらむ

「はあ?」

意味わからん、と海斗は眉を寄せて振り返る

やっぱり少し機嫌が悪い
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