何度でも何度でも…
はあとため息をついて海斗は額に手をやる

始まった…

しるふがこういう風に言い始めた時は、つまりやけを起こしているとき

自分の想いをうまく処理できなくて何に怒ってるのかむしゃくしゃしているのかわからなくなっているときだ

「海斗のバカ!!鈍感!おたんこなす!もう知らない!!」

もうやけだろ、この女…

きっとしるふも海斗の想いもわかるけど自分の想いもあってどうにもならなくなっているのだ

守られるのはうれしい

それだけ大切に想ってくれていることだから

でも、守ってもあげたい

矛盾した想いが溢れてやけくそになってよくわからずひとまず頭に浮かんだ言葉を羅列する


ふと息をついた海斗はもたれかかっていたシンクから身を離し、しるふを抱きしめる

「…っ」

腕の中でしるふがその力の強さに息をのむ

ふわりと香るカモミールの香りは、付き合い始めたころと少しも変わらない

そのぬくもりも

何度抱きしめたその華奢な体も

ずっと守っていくべきもの




< 153 / 182 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop