何度でも何度でも…
「海斗の…ばか…」

肩口に顔をうずめる海斗にしるふは涙声でつぶやく

本当は少しショックだったのだ

海斗に言葉を制されたこと

そんなに自分は頼りないのかと

海斗が自分を守りたいと思っていることは知っているけれど、少しくらい頼ってくれてもいいじゃないかとしるふは勝手に思っていたから

だから新城の出現よりも海斗の行動にむしゃくしゃした

きゅっと唇と噛んだしるふは海斗の肩に額を押し付ける

肩口に顔をうずめていた海斗が、しるふの頭に頬を軽くつけて少し体制を動かす

そしてぎゅっと海斗の腕に力が籠ってぬくもりをより強く感じる

ポンポンとあやすように優しく背を叩く海斗の手が愛おしい

海斗の腰に腕を回したしるふは、さらにぎゅっと海斗に抱き着く

ゆっくりと大きく息を吸い、胸を海斗の香りでいっぱいにする

むしゃくしゃした感情がゆっくりと消えていく

「しるふ」

どれくらい沈黙が流れただろう

優しい声が耳元で響く

「ん?」

海斗の鎖骨あたりに顔をうずめているせいでしるふの声は少しくぐもっている





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