何度でも何度でも…
「愛してる」

「…っ」

耳元で響く愛おしい声にしるふは、やっぱり海斗はずるい、と思う

だってこんな時そんなこと言われたら機嫌を直すしかないじゃないか

しかもこんなに優しい声で

きっと自分にしか聞かせない声で言われたら

嫌でもうれしいと思ってしまう

許してしまう

普段愛してるなんてほとんど言わない海斗は絶対に確信犯だ

その言葉がしるふに与える影響をしっかり理解している、きっと…

結局海斗にはかなわないのだ

この鈍感で、ちょっと俺様の、でも優しくて愛おしい存在には

生涯敵うことはない


そっとしるふの背に回っていた海斗の腕が腰に回ってゆっくりと距離を取る

まだ涙目のそして少しばつの悪いしるふは海斗と目を合わせられずにうつむく

ふと海斗の不敵に笑う音を聞いていたしるふはそっとほほを撫でられて、ゆっくり顔を上げる

優しい、穏やかな瞳をした海斗と目が合う

頬を撫でていた海斗の手がそのまま後ろに滑って後頭部にまわる

あ、と思った時には少し上を向かせられて唇が重なっていた

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