何度でも何度でも…
「由斗兄!由斗兄ならわかるよね!!」

客観視に関して兄に勝るのは、海斗位なものだ

「いや、しるふをなだめられるのはあいつだけだと思うけど」

なんて言う兄は至極真面目な顔

「みんな、海斗を買いかぶりすぎ!海斗の隠された本性を知らないからそんなことが言えるのよ!!」

腕に美沙を抱え込み、不満げなしるふのその言葉に

由斗は苦笑し、紗雪はのろけー、とつぶやき、速人は微笑み、希央は肩を揺らして笑う

腕の中の美沙は、全く聞く耳を持たずに遊びに没頭している

こういう時海斗がいてくれたら、笑いながらも取り成してくれるのに

どうして肝心な時に限ってそばにいないかな

あの淡泊、鈍感、俺様野郎め

そんなこと言おうものなら、ますます紗雪にばかにされるし、

何よりこの状況で海斗が隣にいないことがさびしいだなんて、口が裂けても言えやしない

当の本人にさえも

あの、しるふを素直にさせることに関して右に出る者はいない、と

しるふ自身が評価するあいつにさえ、そんな褒め言葉言ってなんてやらない

なんて心に誓っていると

家の固定電話がけたたましい音を立てて鳴り響いた
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