何度でも何度でも…
「あらー、しるふちゃん、久しぶりねー。元気だったー?」

キーが高めの声が響く

思わず受話器を少し耳から離すしるふの様子に、由斗と紗雪が背後で視線を交わす

「うん、元気だよ。叔母さんも元気そうで何より」

齢60を数えるというのにこのパワフルさはなんなんだろうか

どこから湧いてくるのか、今後のためにぜひともお聞きしたい

「仕事の方は?忙しそうだけど、大丈夫?」

海斗を知る前の姉よりも叔母は過保護だ、と断言しよう

携帯の番号を知らないのが唯一の救いだと思う

もし住所なんて教えようものなら毎月のようにお見合い写真が送られてくるなんて状況が、

簡単に予想できたため、未だにしるふがどこでひとり暮らしをしているのか彼女は知らない

何度か聞かれたらしいが、姉と兄がうまくかわしたとか

さすが

「うん。忙しいけど皆いい人だよ。それよりどうしたの叔母さん」

黒崎病院ERは本当にいい人が集まっている

偉そうなこと言っていても黒崎病院ではなかったら医者を続けてはいなかったかもしれない、そう思うほどに

「いやあね、こないだ紗雪ちゃんに電話したら、なんでもしるふちゃんが今度帰ってくるっていうじゃない?」

なぜ、ばらした

キッと姉をにらむと、言いたいことが分かったらしくごめんごめんと口が動く

高級スイーツ決定だ
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