何度でも何度でも…
「それでね、しるふちゃん」

「なに?叔母さん」

「私の友達のね、息子さんが医者なのよー。それで私の姪も医者よっていう話をしたら盛り上がって盛り上がってー。それをその人が息子さんに話したみたいで?ぜひしるふちゃんに一度会ってみたいって言うのよー」

どう?いい話でしょー?

相変わらずマシンガントークは健在のようだ

「えっと…」

全くいい話には思えないんですが…

本音を言うわけにはいかず、どもるしるふに、

「で、しるふちゃん忙しいでしょ?だからこの一週間のうちに会ったらーと思って。明日のお昼にその人と会うからしるふちゃんも来ない?」

「いやー、でも……」

せっかくの一週間休み

ごろごろしたり、思いっきりショッピングしたり

海斗との3周年記念の案も練りたいと思っていた

そして最後の日は少し早く帰って海斗を夕食とともに迎えようなんて思っていたのに

どうしてくれよう、この落ち込み具合

どうやって断ろうかととっさに言い答えが出ずに言葉を濁しているしるふに、

「明日、大通りのレストランだから。よろしくねー。迎えに行くわ、10時半にお邪魔するからよろしくねー」

言いたいことがなくなった叔母の電話は、すぐにむなしい機械音に変わる
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