何度でも何度でも…
「立花しるふさん、でしたよね?」

あれはちょっとした事件だったわ

と、物思いにふけっていた私は声に現実に立ち返る

「あ、はい」

「自己紹介がまだだったね。…改めまして、白鳥病院副医院長白鳥潤也です」

え?

……ええ!?

白鳥病院!?

副医院長!?

予想だにしなかった言葉に目を見開く

白鳥病院と言ったら、黒崎病院に並ぶ大手個人総合病院だ

黒崎病院が地域に根差した医療なら白鳥病院は最先端を駆使した治療を展開する病院

昔から個人総合病院として名高かった両医院

途中までは同じような道をたどっていた

どちらかが何か大きな手術を成功させれば、もう一方も違う大手術を成功させるなど常に一歩も譲らなかった

信次が医院長になり、黒崎病院の方針を180度とまではいかないまでも変更するまでどちらが日本一の個人総合病院か、

現医院長だけでなく、その息子、跡取りにも注目が行くほどだったのだ
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