何度でも何度でも…
「別に黒崎病院のことを聞きたかったわけじゃないですよ。ただ、女性で救命医をやっていらっしゃるのが珍しくて、少しお話をしてみたかっただけです」

安心してください

黒崎病院とは対極にみられる白鳥病院と知って、しるふが警戒したと思ったのか、それとも顔に出ていたか、

白鳥が優しく言いながら安心させるように笑みを深くする

ああ、鬼か、仏か、わからなくなってきた…

しるふは、そっと心の中で天井を仰ぐ

「そんなに珍しくないですよ。うちは医局長も女性ですし、女医の卵もいますから」

別に私じゃなくてもよかったじゃないか

医局長とかずっとERで働き続けてきて今は医局長だ

ぜったい神宮寺に話をした方がためになるし、いろいろな話だって聞けるのに

「でも、もう3年ほど続けていらっしゃる。白鳥病院をこれからもっとよくしていくためには女性の力が必要になってくると思っています。現役の女医として今の病院に足りない制度や環境をお聞きしたいんです」

そういって運ばれてきたホットティーを静かに口に含む

一つ一つのしぐさに育ちの良さと洗練された雰囲気を持っている

海斗にはない優雅さだわ…

思い出した恋人にそっと息をつく






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