何度でも何度でも…
「立花さんは黒崎病院以外で働いてみるつもりはないんですか」

着々と運ばれてくる料理を少しずつ片づけながら、白鳥さんはふと話を振ってくる

深い意味はなく、ただ興味を持った、そんな風な話し方だ

口の中のものを十分味わってから

「別に黒崎病院にこだわってるとかっていうわけじゃないんですけど、周りの人もすごくいい人ですし、海外に行きたいとか他の病院で腕を磨きたいとか思ったことはないです」

そんなことしなくても隣には世界でも数本の指に入るであろう名医がいる

あえて黒崎病院から出てみようとは思わない

それにまだまだ自分は未熟だ

もっと海斗から学ばなければならないことがある

少しでもあの背に追いつけるように

近づけるように

「そうですか。いいですね、うちの病院も従業員からそういわれる病院にしていかなければ」

ふと微笑んで告げてくる白鳥にしるふも静かにほほ笑み返す
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