何度でも何度でも…
「あの、」

少しためらいがちに話し出したしるふに、促すように白鳥が優しい瞳を向けてくる

「白鳥さんは、黒崎先生をどう思っていらっしゃるんですか」

医療界では噂の絶えない二人

いやでもお互いを意識しているんじゃないだろうか

「…彼は、すごい医者ですよ。腕もさることながら人をまとめ上げる能力も医者としての感性も才能も、患者に対する姿勢も」

本心だとわかる声音で告げる白鳥にしるふは安心したように息をつく

「周りがいろいろ言っているから、お互いにライバル視してるのかなって思ってました」

海斗はきっと気になんてしてないだろうけど

それでも海斗の敵が増えるのはやだなって思う

出来るだけ海斗を認めてくれる人が増えていってほしいって思うんだ

「とやかく言われてるのはそうですが、彼は認めるに値する医者ですから」

そうですね

小さく微笑んだしるふの笑顔には、今までにない穏やかさがあった



それから趣味の話題(趣味…!?)とか病院での驚き事例とか他愛無い話をしつつデザートまで完食した

料理はおいしかったけど、気の置けない状況だったせいかどうも満足できない

後で海斗と来ようかとか考えていると

「立花さん」

白鳥の温和な声が響いた

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