何度でも何度でも…
医療知識のない叔母は全く理解できない話だろうが、しるふと白鳥がやりとりをしているのを見て機嫌よさそうに笑っている

白鳥の母親も嬉しそうに会話が弾んでいるようだ

しるふは白鳥のあの機器がどーのとかここが何のためにある空間だとかいろいろな説明に耳を傾ける

一応これでも医者の端くれだ

やっぱりそういう話は興味がある

しかもしるふは黒崎病院しか知らないから、黒崎病院にはない空間が珍しくて、へえ、と感心しつつ相槌を打つ

「すごいですね、全部最新式」

感嘆してそういうと

「病気は日々進化していますから、医療も進化しなければ患者は救えませんよ」

そう病院内を見渡しながら白鳥が言う

まあ、確かに

でも、時々そんな機械に頼らないと患者を救えない自分たちが、ひどく無力で小さなものに思えてならない

どれだけ知識と経験があっても、抗えないことだってある

その現実に直面するたびに自分がここに居ていいのかと自分がやってきたことは正しかったのかと不安になる

放り出したくなる度に、海斗がそっと支えてくれる

あの大きな手に何度だって助けられて、今がある

だから、私は、海斗が笑って生きていられる世界を、心から望むんだ

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