何度でも何度でも…
もー、海斗がいたらくそガキ扱いだよ、この子…

子供と言えど、時々容赦のない海斗を思い出す

と、看護師がやっとしるふたちのところまでたどり着く

ずっと走っていたのだろう、息が上がっていて、思わずお疲れ様です、と声をかけたくなる

「ふ、副委員長…お疲れ様です」

何とかそう絞り出した声は凄くかすれている

すぐにこちらに向き直り

「こら!亮君、検査は亮君だけじゃないの!後ろに何人も検査しなきゃいけない人がいるのに、亮君が嫌がってたらどんどん後ろが詰まっていくじゃない!!」

怒鳴られて亮君と呼ばれた少年は、しるふの後ろに隠れるように回る

それからしるふを見て

「すみません、ご迷惑をおかけして。この子いつも検査を嫌がって逃げ出すんです。時間がないのに…」

と、少し困ったように言った

「いえ、子供は検査が嫌いなものですもんね」

白衣を見るとそれだけで逃げ出す子もいるんだ、と前に海斗が教えてくれた

そういう時は白衣を脱いで、子供と視線を合わせて対応するのだそうだ

子供だってちゃんと説明すればわかってくれる

ただ、怖いものは怖いのだ

それを無理やり検査室に押し込んでは、治る病気も治らない

だから、子供を対応するときは、その視線に合わせることを忘れるな、そう何度も言われた
< 41 / 182 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop