何度でも何度でも…
番号を見ただけで少しだけあたたくなった心を自覚しながら、発信ボタンに手をやる

耳に響くのは規則的な機械音

「もしもし」

数秒後、コールが切れ、抑揚に欠ける海斗の声が響く

「もしもし、私」

自分でも驚くほど最初の声は冷静だった

「知ってる。どうした」

いつもと変わらない声と何も言わなくてもそう聞いてくれる海斗に、

じわりと涙が浮かぶ

「-。かいとー」

おい、どうした?

電話口から響く海斗の声には、珍しく驚きと焦りがにじんでいる

「きいてよー」

だから、何があった?

「……プロポーズされたー」

「……はあ!?」

数秒遅れて返された反応

いくら海斗でもこれは予想できなかったらしい




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