何度でも何度でも…
「白鳥さんなら常識を超えることはまずしないだろうし、大丈夫だろう」

あっけらんかとした言葉

「答えになってないよ、海斗」

何が大丈夫なんだ

何が根拠にそんなこと言えるんだ

前にマンネリ化を気にしていた時は、しるふ相手なら追ってやるよ、なんて言っていたのに

全然追ってくれないじゃないか

「ま、どうしようもなくなったら言えよ。出てってやるから」

むくれつつ、ちょっと不安に駆られていると海斗の真面目な声が電話から響いた

「出てきてくれる気、あるんだ」

「もちろん。いい度胸だろ、人の女に手、出すとか。しかも略奪宣言されたら黙ってるわけにはいかない」

海斗の嫉妬の仕方とか焼きもちの焼き方ってどうも人とずれてるんだよな

見上げた天井の木目を追いながら、それでもそれだけの言葉でうれしくなる

「それならそうと先に行ってくれないかな、海斗君」

おなか痛くなるほど笑う前にさ

それが照れ隠しで不器用な甘えだということくらい手に取るようにわかってしまう
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