何度でも何度でも…
「だから言ったじゃない」

開口一番、姉はため息交じりにそういった

「だって、どうにかできたこと?」

不満そうなしるふを見返して

「海斗君にさ、気をつけろって言われたら、いくらなんでも少しは警戒したりするでしょ?」

そのためにも海斗君に一言連絡しておいたら?って言ったの

夕食をみんなで囲んでいると、話題はもちろんしるふの今日の事件である

ついでに海斗に笑われてことも愚痴ってやった

のに、姉の口から洩れた言葉は真逆で、しるふは一人ほほを膨らませる

「…彼女が他の男に結婚前提交際を申し込まれて笑うような男が、何いっても効果なんてないよ」

「海斗君はいい感性してるから、きっと今回のことだって嗅ぎ付けたわよ」

海斗は犬か

「そんなはずないよ」

あの淡泊鈍感男が、何を嗅ぎ付けられようか

「で、さ、しるふ、あんたどっち選ぶの?」

真面目、とは言いにくい口調で姉が聞いてくる

「どっちって?」

口に含んだパスタは、和風で丁度いい味付けだ
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