何度でも何度でも…

「当たり前でしょ。海斗君はいい男だと思うけど、私にはしるふの方が大切だもん」

最終的にしるふを泣かせるような男なんていらない

「ま、海斗君はさ、惰性で付き合うようなことはしないと思うし、海斗君といるしるふ見てると、ああ、海斗君のこと好きなんだな、って素直に思えるんだよね」

少し声音を優しくして紗雪が紡ぐ

「コウ君と付き合ってたしるふより、櫻井さんとの食事に行くしるふより、海斗君と並んでるしるふが一番幸せそうで自然体なんだよね」

だから、海斗のことを認めたのだ

顔とか性格の好印象何て後付に過ぎない

「…正直、まだ結婚はそこまでしたいとは思わないんだ」

そうでしょうね、紗雪がクリームを手に出しながらしるふの言葉に頷く

「…雪ねー、私ね」

しばしの沈黙の後、しるふが小さな声でそっとつぶやく

「今の生活が大好きなんだ。病院に行ったら医局長とか莉彩とか園ちゃんとかがいて、海斗もいて。病院では黒崎先生だけど、でも時々彼氏顔して心配してくれて、家に帰っても海斗がいて」

何気なく日々を送っていても海斗はそばに居る

そんな今の生活を壊すのが、正直怖い