何度でも何度でも…
「こうなるまでにはいろいろあったのよ。初めからこうだったわけじゃないんだから」

たくさん悩んだんだ

自信だってなかったあの頃

少しのことでうじうじして、海斗の考えてることを勝手に想像して

決めつけて

海斗を傷つけた

でも、あの瞳に気が付いた瞬間、もう海斗を疑うのはやめようって思った

もっと胸を張って、海斗の隣を歩くことにした

それがしるふの海斗の想いへの答えだ

「しるふさ、言ったじゃない?海斗君に守られるだけの女にはならないって」

黙りこくってしまったしるふに紗雪の優しい声音がかかる

「その言葉はそんな簡単に言える言葉じゃないと思うんだ。でもそれをあんたは堂々と言ってのけた。それだけ海斗君を想っていて、海斗君に想われてるってわかってるんだなって」

だから、二人はずっと一緒にいると思うんだよね

「…悩みがないわけじゃないんだから」

膝を抱えるようにしてぼんやりと向こう側の本棚をにらむ

「あら、あんなにしるふ一筋ですよってオーラを出してくれてるのに?ご注進ー」

一変、おどけた様に紗雪がにやりと笑う

「だってどこにも保証なんてないじゃない。ずっと海斗が私を好きでいてくっれる保証なんて。それにこうも長くいるとさ、不安になるんだよ。ただそばにいるだけじゃないかって。いつかもっと他に好きな人ができたら離れて行っちゃうんじゃないかって」
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