何度でも何度でも…
約束なんてただの気休めなのかもしれない

形はないし、根拠もない

でも、信じている、海斗の言葉を、二人の未来を

「雪ねー、」

瞳を開けて、しるふは姉を呼ぶ

「ん?」

「なんでさ、海斗なんだろうね」

もっと優しくていい人なんてたくさんいるだろうに

立ち上がってドアに手をかけるしるふの背に、紗雪はそっと声をかける

「それはさ、あんたが一番わかってることじゃないの」

「……そうだね」

自嘲的に笑いながらしるふはドアを開ける

「おやすみ、雪ね」

「おやすみ」

そう、わかっている

なんで海斗かなんて本当は疑問に思うこと自体無駄なんだ

何度そう問われてもしるふの答えは変わらない

迷うのは、不安になるのは、相手を想っている証拠

だからこそ乗り越えていこうと思う



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