何度でも何度でも…
「そう思うとすごいな」

感嘆交じりの低い声が響く

「でしょう?海斗なんてさ、元カノさんと一年も付き合ってなかったんでしょ?しかも大学時代」

恋愛歴の薄い海斗にとってしるふは、大学時代に付き合った初めての彼女以来の彼女だ

「あー、遥さんを彼女と数えていいなら…な」

今にして思う、自分は本当に遥のことを好きだったのだろうかと

好印象程度だったのではないかと

しるふに出会って、本当の意味で他人を想う事を知ったような気がする

時は戻せないけれど、常々遥には悪いことをしたなーと思う海斗である

「ま、そういう私も櫻井さんを彼氏と数えていいのか、悩むところなんだけどねー」

はっはは、と苦笑しながら一週間で喧嘩別れした元彼氏を思う

「にしても、我ながら3年もしるふと付き合えたことがすごいと思う」

褒めてやりたいね、ものすごくいろいろ耐えたし

食べるのとをいったん中断し、椅子の背もたれに背を預けて頷く海斗を

「ちょっと。何に耐えたのよ」

すっと瞳を細めつつ、睨む

「いろいろと?しるふの我がままとか我がままとか、それはもう数えきれないくらい」

「誰がいつわがままを言ったのよ。それなら私のほうがいろいろ耐えてるわよ。海斗の隣にいると女からの攻撃が絶えないんだからー」

忘れたとは言わせないわよ

そういって口に白菜を入れつつも上目づかいで海斗をにらむ



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