何度でも何度でも…
海斗は、はははと笑って

「そうだな。あれはしるふじゃないと耐えられないかもな。さすがだよ」

となんとも褒め言葉と受け取れそうで受け取れないことを言う

「それってさ、褒め?」

胡乱気に尋ねるしるふに

「褒めてる、褒めてる。それはもう盛大に」

けらけらと笑う海斗を見ながら思う

絶対に褒めてない

あれはからかっている顔だ

「もー、心がこもってないよー、海斗君。そんなんじゃ、いつか愛想つかしてやるんだからねー」

すねたように勢いよく白菜を口に放るしるふの耳に、海斗の笑い声が届く

今に始まったわけではない海斗のからかいも淡泊さも4年も付き合って来れば

慣れた、というかたぶんそういう海斗も好きなのだ、自分は

なーんで海斗を好きになったんだろーなー

度々思ってきた疑問だ

海斗は、淡泊だし、女心わかってないし、やきもちも嫉妬もしてくれない

もっと優しくて女心のわかる人なんてたくさんいるだろうに

どうしてそんな人を差し置いて、海斗を選んだんだろう

結局答えなんていつも見つからないし、見つけようとも思わないけれど、何か悔しくてついつい考えてしまう

海斗に落ちた理由を

もし、そんな理由が見つかったら少しでも言い訳できるような気がして




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