何度でも何度でも…
「ねえ、海斗」

蘇るのは海斗の言葉

あの言葉があるから、明日なんて見えなくても

海斗のそばにいたいって、海斗にそばにいてほしいて思う

本当は分かっていた

海斗の言葉の真意

そばにいて欲しくないなんて思ってないことも、私のことを大切に想ってくれてるから、私の幸せを望むから海斗がそういう風に言ったことも

本当はわかっていた

でもね、海斗

私がそばにいたいって思うのは、繋ぎ止めていてほしいって思うのは…

私の呼びかけに海斗がふと瞳を向ける

あまり多くを語らない海斗の瞳は、けれどそれ以上に大切なことを、日常に埋もれてしまいそうになる小さな愛しさを教えてくれる

その瞳に気が付いた時から

心はずっと決まっているんだ

たとえ、この先見えない未来が続いていても

ずっと一緒に居られる保証なんて存在しなくても

それでも、取る手は、追いかける背は、ただ一人だから
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