何度でも何度でも…
でも患者に対する思いは人一倍強くて、きっとこの業界に渦巻くどす黒い欲望なんかとは無縁に生きてきたんだろうと

このまま真っ白いままでいてほしいと

ずっと笑っていてほしいと思うようになった

ずっと守っていきたいと

その為なら例え自分の可能性が消える道を選ぼうとも

そんなもの安いものだと思えるようになった

そんなものよりもしるふが笑顔でいてくれる方が大切だから

その笑顔に助けられているのは自分だから


つまらない話し合いにも休憩というものがある

休憩に入ると話しかけられないうちに海斗は姿を消すようにしている

ほとんどは屋上に行って外の空気を吸う

トイレとか自販とかありきたりの場所だとほかの人につかまってしまうから意図的に避けている

今日も避難するために早々と会議室を出て、一人吹き抜けの廊下を歩いていた

「…黒崎」

確かこの先にエレベーターあったよなーと考えつつ歩いていると後ろから若い声に呼び止められた

振り返ると昔からいろいろと比較されてきた白鳥病院の跡取り白鳥潤也が重そうな鞄を片手に立っていた

「…昨日の今日ですね、白鳥さん」

別に挑発しているわけではないのだが、そういう物言いに聞こえるらしい

昨日しるふにぶつくさ言われたな、とふと思い出す





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