ほろ酔い気分で聖夜を過ごす
焼酎
八畳間の居間。
コタツとファンヒーターがつけられた部屋は、外の寒さを忘れさせるほどに熱が隠っていた。
ファンヒーターの温度を、灯油消費気にせず最大まで上げているからこそ成る熱帯夜。灯油の値段を考えれば、こんな無駄な消費はできないものだが。
「またお前は、渉(わたる)に断りもなく入り浸って!」
灯油代気にするはおろか、使うこと自体が嫌がらせとしている小悪党と出会えば、五十鈴(いすず)は怒る他なかった。
「今すぐ消せ、砂漠気温になっているじゃないかっ」
砂漠気温など大袈裟かもしれないが、雪降る外からこの居間に足を踏み入れれば、あながち間違いとは言えない。
ファンヒーターの電源を消そうにも、その前に五十鈴の怒声に苛ついた小悪党が、足でファンヒーターを蹴り飛ばす。