ほろ酔い気分で聖夜を過ごす


「第一、家人がいない家で酒盛りをするな!」


今まさに、コップの縁に傾けられる一升瓶を藤馬の手からかっさらい、横暴を阻止しようとしてみたが。


「わたるんからは許可貰ってるっつーの」


聞いたことに肩の力が抜けた。


「許可?傍若無人のお前が、いちいち他人に許しを求めるか」


「面と向かって、傍若無人言うかよ……。ま、間違っちゃいねーけどー。でも今回はきちーんと、酒盛り許可貰ったぜぇ」


尖った歯を軋ませ笑う藤馬を信じてはいけないのだが、お人好し属性の五十鈴では、「たまには、こいつも殊勝な時もあるのか」とさえ思ってしまう。


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