ほろ酔い気分で聖夜を過ごす


舌打ちでもしそうな雰囲気でも、酒を飲めば気分は上々。酔ってきたのか、藤馬の顔色がほんのりと赤い。


「悪さしないか見張るらしーけどよぅ。実際のとこ、“悪さしてほしいから”そこにいんじゃねえの?」


「酔っ払いめ」


下品な口は閉じない。茶化されていると分かっても、五十鈴の心境は怒りのままだ。


「わたるんも、俺らに気い利かして、今日はいねえんじゃね。聖夜とは名ばかりの、恋人常套の淫乱な夜更けでしっぽりやれって、いないんだぜ、きっとよぅ」


「どういった解釈でそうなる。渉は今日、友人宅でクリスマスパーティーのはずだ」


事前に留守にすると聞いていたからこそ、渉不在の家を守ろうとすれば案の定、小悪党がいた。


ならば追い出すに限るが、この寒空の下、根なし草なこいつの身も心配するあたり、五十鈴は心底人が良い。酔っ払いが寒空の下で死ぬケースを見た手前もあるが。


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