ほろ酔い気分で聖夜を過ごす
「毎年クリスマスは、てめえと過ごしたわけじゃねえが、泊まり込みでいないっつーのは、もしかして初めてじゃね?」
「親しい友人を持ったし、渉も成長した。外泊ぐらいなんてことは……」
「過保護な奥さまの顔に書いてあるぜぇ?『私も行きたい』って」
「っっ、そんなわけ……ある、か。渉の友人たちは私も知っているし、渉からきちんと、『クリスマスは冬月くんたちの家で過ごす』ともあったし、心配など……」
分かりやすい奥さまだこと、と藤馬は手近にあった湯飲みを取った。
「クリスマスは家族で過ごす。んな決まりは小学校卒業と共になくなんだろうよ。ま、あのガキはつい最近まで、てめえにくっついていたが」