ほろ酔い気分で聖夜を過ごす


ほらと、湯飲みに注いだ酒を渡す。


藤馬の意外な行動に目を点とさせた五十鈴だが、子離れの寂しさあってか、ちょこちょこと酒を口にした。


「そろそろ、私は渉から距離を置いた方が……いいのだろうか」


「あ?」


「私はその、自他共に認めるお節介だ。正直に言えば、このまま渉の家族として一緒にいたいと思うが、それは“私ばかりの気持ち”に感じてならない。反抗期がない渉のことだから、私を嫌うことはなくても。大人になるにつれ、鬱陶しいと思われるのではないかと……」


不安、とまでは口にしないが、伏し目がちとなった右目で悟る。


行き過ぎた優しさはお節介。子が通る石橋を叩いて、前もって危険がないことを確かめなければ、子の行く手に待ったをかけてしまう、そんな面倒(やさし)さ。


自覚しているのに、今日みたいな『友人宅へのお泊まり』でさえも気にかけてしまう。


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