ほろ酔い気分で聖夜を過ごす
“言い訳”が出来てしまった。
この小悪党がいるから、渉から離れるわけにはいかない。
人の苦しみを酒の肴にするような奴をそのままにして、渉から離れることなどできないだろう。
藤馬のせいで、と言いたいのに。
『できもしねえことを』
そう言われた手前、“藤馬のおかげで”とも見方を変えようとして。
「可愛いガキに悪さされたくなきゃ、とりあえず、足開けや。あー、いや、酒あるしワカメ酒もいいなぁ」
シシッと笑うこいつに、そんな考えを持ったのが間違いだと、五十鈴はため息をついた。
「お前を好く渉の気持ちが分からない……」
やはり藤馬に何かの術をかけられているんではないかと、残ったお酒を飲み干す。