ほろ酔い気分で聖夜を過ごす
「奥さまって、けっこーイケる口なんだな。この酒、度数高いから、割って飲むのがいいんだが」
「これぐらい、どうってことはない」
五十鈴酒豪説が浮き始めたあたりなのだが。
「まったく、どーして渉は、お前を好きなんだか」
「……」
あれ、と藤馬が思ったのは、五十鈴が同じことを言ったからではない。
「一緒にいる時間……、私のが、渉とながーくいるというのに」
見た目は平常、きりっとした姉御のような顔立ちも健在であるのに。
「お前を好きだと、お前なんかを家族だと、私は認めてなどいない、ぜーったいに認めないというのに」
何かが、おかしい。
湯飲み一杯で酔える酒かと、藤馬が一升瓶を手にしたあたりで、五十鈴がそれをひったくる。