ほろ酔い気分で聖夜を過ごす
「とうま……」
名を呼ばれて、心臓が跳ねた。
寝言に近いか細さでも、藤馬の動きを止めるのには十分。
ただ、何故止まったのか自分でも分からない。
まるでこれでは、“後ろめたさ”があるみたいで――
「それでも、家族って、あの子が言うから」
うっすらと開いた口、そうして“左目”。
ハッとしたのもつかの間、藤馬の手にいたのは一匹の梟であった。
「な、はあぁ!?」
ぐったりとしている梟を両の手で持ち上げ、ゆさゆさと振る。
「おい、なに梟に……!最近ずっと、人型で活動していたじゃねえかっ!」
人と動物の姿を冠する死神たる五十鈴なわけだが、まさかここで鳥になられては、続きが出来るわけもなく。