ほろ酔い気分で聖夜を過ごす
酒樽担ぐ腕力に、西洋剣プラスされれば並大抵の武人は敵うまい。クロスの一人勝ちと思えど。
「ばーか。酔っ払い相手に剣を振るうか。男の勝負とかで、酒飲みしてきたんだ!」
「……」
ばん、と酒樽を叩くクロスは、やはり単細胞。期待を裏切らない。
「俺を見た目で馬鹿にしやがって。俺は大人だ、大人以上に大人だから、まだまだいける!俺を童顔だの可愛いだの言う奴は、まず俺と酒飲みしろってんだ!先に酔い潰れるお子ちゃまは、お前の方だって教えてやる!」
要領を得ないようで得る言葉は、頭のどこかは素面でいるらしい。
正直、酒など飲めないと思ったが、クロスにも大人と言えよう面があって。
「だから勝負だ、ロード!酔い潰れた方が負けな!」
「君はそうだから、童顔なんだろうな、きっと」
根っからの単細胞(こども)にいちいち付き合っていられるかと、ロードは二度扉を閉めようとするが。