ほろ酔い気分で聖夜を過ごす


「なら、俺の勝ちだな」


上機嫌にジョッキにビールを注ぐクロス。泡が溢れる前にぐいぐいと一気に飲むあたり、本当に強いらしい。


大きく上下した喉仏が、くはぁっと一息つく。勝利の酒は上手いなと言わんばかりで。


「やっぱり、姫の騎士は俺が相応しいに決まっているっ」


どこをどう、酒飲みごときでそう解釈したのか考えることも馬鹿らしいが、その言葉でロードの眉が上がる。


心外と言いたげな仏頂面、苛つきのまま、ロードはクロスのジョッキをひったくり、ビールを満たす。


ごごごっ、と一気に飲み干し、平然とした顔でまた一杯。


クロスが呆気に取られていれば。


「酔っ払いへのハンデだ。十杯飲むから、十秒待て」


かくして、男の勝負が始まったわけである。


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